2023年06月28日(水) インタビュー

やいたから自転車の灯を消さない 「やいた八方ヶ原ヒルクライム」に新しい風を


やいたから自転車の灯を消さない 「やいた八方ヶ原ヒルクライム」に新しい風を

2023年7月30日(日)栃木県矢板市で開催されるヒルクライムレース「やいた八方ヶ原ヒルクライムレース」4年ぶりに帰ってきます。

コロナ禍を経て、大会のあるべき姿を模索する中で、大会に新しい風を入れようと奮闘するお二人にお話を伺いました。

ふるスポ!も、4年ぶりにふるさと納税での出走を受け付けています!

「やいた八方ヶ原ヒルクライムレース」とは

八方ヶ原は、栃木県矢板市にある標高1,000~1,200mの高原で、周辺には県民の森や赤滝・小滝・寺山の鉱泉があるなど、豊かな自然に恵まれた地域です。

このヒルクライムレースは、八方ヶ原の観光道路を利用した全長13.4㎞、平均斜度7.1%、標高差950mを上るコースで、ツール・ド・フランスの山岳コースに似ていることから、「栃木のラルプ・デュエズ」と呼ばれています。八方ヶ原コースのゴールである大間々台の展望台からは、雄大な関東平野の眺望とともに大自然の楽園が出現します。 本大会では、矢板市を全国にPRするとともに、地域の活性化と自転車のまちづくりを推進することを目的としています。



今回、お話を伺ったのは、今年から大会の実行委員会に加わった、地元で自転車屋「じてんしゃやフレーシュ」を営む藤田佳希さんと、ヒルクライムのゴール地点でもある「山の駅たかはら」の運営会社の白石盛人さんです。

藤田さんは以前から実行委員会で活躍されていましたが、白石さんは今年から大会の実行委員会に加わりました。

(左)「じてんしゃやフレーシュ」藤田さん、(右)「山の駅たかはら」白石さん



―まず、お二人の大会との関わりを教えてください。

藤田さん:私は、矢板市出身で学生から社会人になる過程で東京にいました。大学から自転車を始めて、43都道府県を自転車で走っていました。第一回大会当時は、東京で自転車関係の仕事をしていて、いちサイクリストとして参加しました。

「じてんしゃやフレーシュ」藤田さん



その後、自転車を通して盛り上げようとしている地元の話を聞いて、「何か手伝えることはないか?」と思い、市役所に顔を出したりしているうちに、自転車のまちづくりに取り組む「チャリプロ」のメンバーとも知り合いになりました。



その後、矢板市に戻ってきて自転車屋をやろうかと考えていたときに、「チャリプロ」メンバーから何か手伝ってもらえませんか?と声をかけていただき、大会当日に、メカニックなどでブースを出していました。

やいた八方ヶ原ヒルクライム第一回大会の様子



白石さん:今までは、大会とは別に自転車の体験イベントなどを主催していました。大会との関わりでは、前日の設営や運搬などボランティアの関わりだけでした。

「山の駅たかはら」白石さん

コロナになって大会が中止になって、その期間中に「山の駅たかはら」の運営を私たちがすることになりましたが、コロナが明けて通常の生活が戻ってきた時に、山の駅たかはらはサイクリストの利用者が多く、「あの頃の八方ヶ原は盛り上がっていた」という思いから、今一度やってみたいと思っていました。


開催地唯一の商業施設ですので、当日だけという意識ではなく一緒にやっていきたいという想いで実行委員会に加わりました。



―東京でいた頃に、地元が盛り上がっているのを感じていた?

藤田さん:ちょうどその頃、矢板市が「じてんしゃのまち」宣言をしていて、大会も開催するということで。当時、矢板って何のまちなのかなー?と思っていたところ、自分もやっている競技で、嬉しい気持ちがありました。

「八方ヶ原ヒルクライムやるよ」と聞いたから、東京から帰ってきて応援したいというふうになったし、帰ってくるきっかけをいただけました。

帰ってきて、自転車で走ってみると、すごく走りやすかったんだなと改めて思いました。車の皆さんも、栃木にはプロ自転車チームもあるからか、サイクリストに優しい運転をしてくれますし、いろんなお店にバイクラックがあるので、立ち寄りやすいです。



東京でのサイクリングは、信号や事故を起こさないようにという神経で、周りを楽しむ余裕はなかったかもしれません。



―今年の開催を踏み切った想いは?

藤田さん:私としては、去年の他の大会など調査している中で、参加者が戻っていない大会も多く、踏み切るかどうか決めかねていたところでした。
しかし、大会主催者の市役所の方から「やるつもりだ」ということを言っていただけたのでとてもありがたいと思っていました。

この大会は、一つの自転車屋さん「自転車の杜」からスタートしたものでした。しかし、諸事情で、このままではこの大会が無くなってしまう。市がやらないと言ったら誰もやらなくなってしまう可能性が出てきました。



私は、この大会を通して、地元に帰ってきて、自転車を通して地元が盛り上がっている姿を見てきて、残していかないといけない大会だと思っていたので、今回4年ぶりというのは、とても意味があると感じ、開催に踏み切りました。



白石さん:継続的に開催し続けるのは難しいという話があり、わたしたちがより良い大会にしていく力になれたらと思ったのが実行委員に入った一番の理由です。何度かボランティアで大会に関わった際に、コース上で参加者のワクワクしている顔をもう一度見たいなという想いが強いです。

2019年大会。スタート前の子どもたち


また、藤田さんと一緒に、道の駅で開催している自転車大会を長年運営して、子供たちが年々大きくなる姿を見て、この子たちがずっと誇りと思えるような場所や大会を残していかないといけないと強く感じました。


―改めて大会の特徴は?

藤田さん:そうですね…、「つらいですね。笑」

様々な大会に出ていますが、他の大会と比べても走っている時はあまり開けた景色はありません。逆にいうと走りに集中できますね。

逆に、登った後は絶景を一望できるので、

焦らして焦らして…最後に絶景を見せてくれる

「ツンデレ」

な大会ですね。

あと、田園地帯をパレードランでスタート地点に向かうのですが、景色も最高ですし、地元の方から「行ってらっしゃい」と応援されて、歓迎されているのを感じれるのはとてもいいです。

八方ヶ原を走れれば、日本中の大会の基準になっているので、この大会を走っておけば、次の大会にもチャレンジできる自信にもなる。指標になるコースです。



―これからリスタートしたヒルクライムをどんな大会にしたいですか?

白石さん:山の駅たかはらとしては、「八方ヶ原全体の山遊びをもっと面白く」というのをテーマに運営していて、様々なアクティビティなどがある中で、サイクリストの皆様と盛り上げていきたいという想いがあります。

めちゃくちゃ過酷な坂を自転車で登っていただいて、頂上の山の駅たかはらのソフトクリームを美味しく食べていただくような、素敵な経験を作っていきたいです。

八方ヶ原の魅力を伝えるために、山の駅だからこそできる支援もあるので、積極的にやっていきたいと思っています。

藤田さん:なるほど、今後は、大会に出て、テントサウナなどいろんなリフレッシュまでもセットで提供できると面白いですね。走り終わった後、体力が戻っているような大会にしたいと思いました。



白石さん:そうですね。「登って降りるだけではもったいない」大会にしたいです。山頂にある景色を感じてもらいながら、自然環境の心地よさを感じてもらいたいです。現地でわたしたちがしっかりお伝えしていきたいので、魅力を知ってもらいたいと思います。

アクティビティなど、人に伝えるぐらい楽しんでもらえる大会にしていきたいです。

今後みなさんの意見をもらいながら、「名物」を作っていきたいなと思います。走り終わった後に沢でクールダウンしたり、嬬恋みたいにキャベツなどの「食」を伝えてもいいよね。

いろんなアイデアを出し合って楽しそう



―最後に、参加されるサイクリストの方へメッセージを

藤田さん:辛い大会ですが、達成感は間違いないのでお待ちしております。

地元の人がより一体になって、今までやってないことにチャレンジして、どんどん成長していく大会だと思いますので、生まれ変わった第一回として、

まずは、皆さんの「脚」がどこまで落ちたかを確認していただけたらと思います。笑

八方に登れることを目標にしつつ、年一回のお祭で、少しづつ大きく楽しくなっていく大会を一年ごとに味わってもらえたらと思っています。

また、私のように地元に帰ってくる一つのきっかけにしてもらえたらと思います。

サイクリストじゃなくても、地元こんなことやってるなと改めて地元を振り返る機会にしてほしいなと。

白石さん:普段から八方ヶ原に来てくれているサイクリストの皆さんがここまで大きくしてくれたと思っています。

山の駅たかはらとしては、できる限りの恩返しをしていきたいと思っています。

魅力はたくさんありますし、まだまだ自分達も伝えきれていない部分もあるので、忌憚なくご意見いただいて皆さんと成長していけるよう、そして「八方ヶ原ヒルクライムがどの大会よりも良かったよ」と言っていただけるような大会に作っていきたいと思っています。

久しぶりの再会ということで、サイクリストの皆さんと共に成長していきたいと思います!


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